Tenrikyo Europe Centre

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2021年3月月次祭神殿講話

津留田正昭(ナゴヤ・パリ布教所長)

本年、2021年は、天理日仏文化協会が創立以来50年目を迎える節目の年となりました。昨年は、ここヨーロッパ出張所が創立50周年を迎えましたが、記念祭はご存知の通り、本年9月に勤められる予定となっています。

この二つの団体は、ひとつの大きな思いを持って始められました。それは、言うまでもなく、ヨーロッパの地に親神様の教えを広く伝えるということです。その大きな目標に向けて、この二つが一つとなって今日までその活動を続けてきたのであります。

文化協会の設立に至る経緯は、今日ここで詳しく述べることはできませんが、ヨーロッパ布教の拠点設置という思いから、教会本部の意向を受けた創立当初の先生方の命がけの尽力によって開設されました。以来、変わらぬ親神様、教祖のご守護は申すまでもなく、真柱様の親心をいただき、多くの先生方のご指導をいただきながら、50年という年月を絶えることなく継続されてきたのであります。この50年の間、実に多くの方々の誠真実のつとめによって今日まで無事に歩みを進めてまいりました。私は、文化協会の会長を拝命して10年になりますが、この10年を振り返ってみますと、携わるスタッフの皆様、また活動に参加する会員の方々に本当に助けていただいて、喜びを分かち合いながら、今日まで勤めさせていただくことができたと思っています。現在の文化協会の会員数は12600名を数え、そのうち、もっとも大きな活動である日本語学校の学生数は7500名を数えるに至っております。こうして数字を見るだけでも、50年という年月の積み重ね、その重みを感じるわけであります。

その50年という節目に、大変なことが起こりました。昨年以来のコロナウイルスの感染拡大という、これまで誰も体験したことがない現実が目の前に現れました。世界中が大変なことになったとパニックに陥り、私もそのことで心が揺れ動いていました。さあ、この現実を前にどうするんだと。

世界中の国で様々な対応策が出されました。多くの方が亡くなり、また医療機関が麻痺する状態を何とか阻止しようと、この一年間その対応に苦心を重ねております。有難いことに私はこれまでとても健康で元気な体を維持できておりますが、しかしこれまでと違った暮らし方が求められ、それに対して戸惑い、そしてある時は不満を抱えて過ごしておりました。

マスクなしで外出してはいけない、マスクなしで人と話してはいけない。友人と食事することも簡単にできない、多くの人を集めてはいけない、外出は制限され、しかも証明書を持っていないといけない、レストランも学校を開けてはいけない、などなど。この一年間してはいけないことがどれだけ増えたでしょうか。こんなことは、これまでの私たちの暮らしでは考えられないことばかりであふれていると思っていたのです。

しかし、ある時こう考えてみました。じゃ、逆にできることは何なのかと。そうしたら、できることが毎日いっぱいあることにも気がついたんです。ゆっくり寝ることができます。おいしくご飯を食べることができます。インターネットで映画やドラマを見ることができます。お酒を飲むことができます。電話で家族と話すことができます。あれも、これも実に多くのことができますよね。さらには、おつとめもできます。おさづけの取次ぎもできますね。インターネットを通していろんな情報を得ることもできます。本当にできることだらけです。ということは、できないことに心を注ぎすぎて気持ちを曇らせるよりも、できることをしっかりさせてもらおうという心に変わりました。とても単純なことだったんです。ただこれまで自分たちが自由にできていたことが、ちょっと変わっただけだったんです。と同時、これまでの暮らしで、当たり前と思っていたことが、実は当たり前ではないんだと気づくことができました。このことが分かった時、コロナウイルスの感染拡大は、大変なことだけれども、私にとってはこのことを気づかせてくれた、とてもいい機会を与えていただいたと考えを改められるようになりました。

親神様は、教祖をやしろとしてこの世に現れられ、世界一列を救けたいとの思召しからこの道を始められました。そして、教祖はいかなる難渋な道も常に陽気で勇んだ心で通れば、その心を神様は必ずや受け取ってくださり、すばらしいご守護をいただけると、ひながたを通して教えてくださいました。またつらい中でも、たんのうの心を忘れず通れば、自ずと運命が変わってくると、教えてくださいました。このように、教祖は、どんな状況下でも、心遣いひとつで実に多くの喜びが得られることを教えてくださっているわけです。これまでとちょっと違う毎日だけど、このなかを喜んで通ることが陽気ぐらしへの道が開けることに繋がるということに改めて気がついたわけです。

世界は、この見えないウイルスに感染しない、あるいは発症しないため、さらには感染が拡大しないために、ワクチンの接種が一番の関心事として注目され、フランスでも徐々に接種が行われています。これまでも様々な感染症から身を守る手段として、ワクチンはその効力を発揮したことから、今回のコロナウイルスに対しても、その効果を期待しているわけです。

そもそもワクチンというのは、弱毒化されたウイルスの病原体を体内に注入することにより、体内に抗体産生を促進し、感染症に対する免疫を獲得し、それによってウイルスの攻撃から身を守るというものです。私たちの身体のなかでは、こんなことが起こっているのです。ですから、ワクチンがその効果を表す元は、身体のなかで抗体が作り出され免疫というシステムが働くことなのです。これがなければ、いくら素晴らしいワクチンを接種してもその効き目はないわけです。いいかえれば、免疫が働くことを前提にして、ワクチンを接種するわけです。

このように、私たちがお借りしているこの身体は、実に素晴らしいメカニズムを持ち、それが常に機能するよう親神様はお働きくださっているのです。そして、信仰とは、まず信じることから始まります。親神様のお働きを信じ、教祖のひながたを信じて通ることがまず大切なのです。私は、子供の時、風邪をひくとまず母親がおさづけを取りついでくれました。おなかが痛いというとまずおさづけを取り次いでくれました。そのあとは、御供と教祖のおさがりのお水をいただくだけで治りました。確か大学生の時です。猛烈な腹痛で倒れたことがありました。その時は、父親がおさづけを取り次いでくれ、御供とおさがりの水をいただき、父から色々な親神様のお話を聞かせてくれました。そして、病院へ診察に行くと、医者から盲腸炎と診断されましたが、特に何もしないでもいいだろうということでそのまま薬をもらって帰ってきました。翌日には痛みはきれいになくなり、今日まで全く何も起こっていません。このような小さな体験ですが、今もとても新鮮に甦ってきます。

おそらく、私の両親の心には、親神様のお働きを信じきり、疑う心などは一切なく、純粋に親神様のご守護に凭れる心でおさづけを取り次いでくれたのだろうと思います。

教祖は、医療や科学を否定するのではなく、「修理や肥に 医者薬」と教えていただいている通り、医療は必要なものであると教えていただいています。

そして、おふでさきには、

いまゝでハやまいとゆへばいしやくするり
みなしんバいをしたるなれども6-105

これからハいたみなやみもてきものも
いきてをどりでみなたすけるで6-106

このたすけいまゝでしらぬ事なれど
これからさきハためしゝてみよ6-107

どのよふなむつかしきなるやまいでも
しんぢつなるのいきでたすける6-108

月日よりしんぢつ心みさためて
いかなしゆこふもするとをもゑよ6-109

しんぢつの心みさだめついたなら
いかなしゆこふもするとをもゑよ4-52

親神様の十分なご守護をいただいて、病の回復というお働きを見せていただくうえで大切なことは、親神様に私たちの誠真実の心を受けっていただくことなのです。そして、誠真実とは、親神様の十全のお働きを信じる素直な心のことだろうと思案いたします。

反対に、疑う心についても教えていただいています。

此たびハなにをゆうてもうたがうな
これうたがへば月日しりぞく8-63

この事ハあくどいほともゆうてをく
これうたがへばまことこふくハい8-64

疑いの心を持っていれば、親神様の守護はなくなり、後悔することになるんだと仰せくださっています。

月日より一どふゆうてをいた事
いつになりてもちがう事なし8-65

そして、このことは、一度きりのことではなく、永遠の真理であると教えていただいます。

天理教教典第4章に、親神様のご守護は、この人間の身体にとどまらず、一切の守護をしているのであると教えられています。

この世は、親神の身体であつて、世界は、その隅々にいたるまで、親神の恵に充ちている。そして、その恵は、或は、これを火・水・風に現して、目のあたりに示し、又、眼にこそ見えぬが、厳然たる天理として、この世を守護されている。即ち、有りとあらゆるものの生命の源であり、一切現象の元である。

実に、この世は、理ぜめの世界であつて、一分のすきもなく、いささかの遺漏もない。天然自然の間に行われる法則といわず、人間社会における秩序といわず、悉く、奇しくも妙なる親神の守護ならぬはない。

にんけんのわが子をもうもをなぢ事
こわきあふなきみちをあんぢる7-9

それしらすみな一れハめへ/\に
みなうゝかりとくらしいるなり7-10

このせかいなにかよろづを一れつに
月日しはいをするとをもゑよ7-11

親神様の十全のご守護を信じること、そして、そのご守護に感謝を心を持って毎日を勇んで通る事こそ、今、世界で起こっている様々な問題も解決してくる元があると信じます。

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