Tenrikyo Europe Centre

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2018年6月月次祭神殿講話

ヨーロッパ青年会委員長 ロナルド・マルボスク

私と天理教の出会いは2005年で、当時は京都に住んでいました。滋賀県の大津に所属の教会がありましたが、あまり行くことはありませんでした。

2007年にフランスに帰国し、ヨーロッパ出張所に通うようになりました。

私は、2014年からヨーロッパ青年会の委員長をつとめさせて頂いております。お道の教えに直ぐに惹かれ、2006年の終りにはようぼくとなりましたが、しかし、本当の意味での天理教信者になったのは、様々な重大事が私の身に降かかった2009年、2010年を経てからだと思います。

本当に、多くのことについて考えさせられましたこの時期に、当時の田中出張所長夫妻が私の混乱した頭を落着かせるために大きな手助けをして下さいました。当時、出張所に頻繁に通う度に、自分のなかで落着きや穏やかさが取り戻せて来ていることに気付きました。この時以来、私は出張所に通うようになり、おてふりも、まだできるようになるには程遠いですが、学び始めました。

天理教のなかで、好きなことの一つに、一手一つで物事に取組むことがあります。これについては、特に青年会本部が3年毎に実施しているインターナショナルひのきしん隊で2回の参加を通して強く思いました。

ひのきしん隊には色々と種類があり、一番なじみのある1ヶ月隊、地震や津波などの天災時における緊急支援隊、また今年から新しく企画された3日間のひのきしん隊もあります。

インターナショナルひのきしん隊の特長は、世界中の会員が集まることです。ブラジル、ハワイ、台湾、アメリカ、韓国、ヨーロッパなどからやってきます。

国籍の違う人同士で問題がないのかという心配があると思うのですが、しかし逆に、ひのきしんをした後には、皆揃っての宴会が繰広げられます。

もし仮にもコミュニケーションの若干の難しさから、不協和音が出そうになった時であっても、それぞれが、今、自分たちの集まっている目的は、「ひのきしん」であることを思い返すことで、大抵の場合、上手く治まっていきます。

こういったときに大切なことは、裏心もなにもなく、本当の意味で他の人を信頼し任せるということです。一人っ子の私が言うのも何ですが、この心持ちこそが兄弟を結びつけるものではないかと想像します。

私が、昔から好きなもう一つの教えは、私達は、みな兄弟であるという、一列兄弟の教えです。こんな風に思っているのは、少しお人好し過ぎるのかも知れませんが、しかし、対立する両者が、もしこの考えを身につけたならば、もっと平和的に多くの問題を解決できると思います。

2度目のインターナショナルひのきしん隊で経験したことを紹介させてください。入隊後2日目か3日目のひのきしんで、私は、梯子を降りる際、最後の段を踏外し、足首を痛めてしまいました。怪我の程度は軽く、活動への参加に大きな支障をきたすほどではありませんでした。

ひのきしん中に痛みは無かったのですが、移動時には片足を引き摺りぎみで歩いていました。そこで本当に驚いたことは、なんと沢山の人が、一体どうしたのか、何か手助けすることはないかと私に声を掛けてくれたことでした。それまですれ違ったことがあるぐらいで、ほとんど知らなかったような人まで話し掛けてきてくれたのです。

もし私が逆の立場なら、他人にあのように何があったのかなど、とても聞くことは出来ないだろうと思え、自分自身の心の状態について、深く考えさせられました。その時に、私には開かれた心が欠けていて、あまり人との接点を求めないでいた自分の心に気付かされました。

先程、自己紹介のなかで簡単に言いましたが、私は、4年前からヨーロッパ青年会の委員長という立場を頂いています。その母体たる青年会本部では、今年10月28日に創立100周年記念式典が執り行われます。ヨーロッパ青年会は、2年前に30周年をお祝いさせて頂きました。また、その機会には真柱後継者である中山大亮様にご臨席いただく光栄にもあずかりました。

青年会創立100周年に向けて、ヨーロッパ青年会も会員が陽気ぐらし世界に近づくため更なる努力をしていきたいと思っています。その実現の為、また全ての会員が同じ意識を持つために、次のようなスローガンが決められました。

それは、「心を動かせ、世界を拓け」というもので、これまでの青年会のイメージとは少し違ったスローガンです。3年前に新会長として、大亮様が就任なさったことを思えば、何ら不思議なことでもないと思います。

100周年に向けて推進されている活動は、胸から胸へのにをいがけです。ですから、推し進めていくべき活動は、にをいがけなのです。しかし、どのようなにをいがけでも良い訳ではありません。胸から胸へと伝わるような誠真実を込めたにをいがけが求められています。

この活動の目的は、未信者の方を教会、布教所、あるいは教会本部のような、布教の拠点への初参拝までお導きすることにあります。この目的はヨーロッパ出張所の設立50周年記念祭に向けた活動方針にも同様にうたわれていることに留意頂きたいと思います。

こういった流れのなかで、青年会本部からヨーロッパ青年会にも特別企画を実施するよう提唱されました。これについて、私達は、現状ヨーロッパの布教所の一部しか知らないことを考慮するかたちで、ヨーロッパの信者さん方に出会える活動として、様々な布教所を定期的に訪問し、そこの信者さん達と出会い、また一緒ににをいがけに廻らう企画を立てたのです。

にをいがけに廻ることに関しては、青年会として、特別な取決めはしておらず、拠点責任者の提案に添った取組みを考えています。これまでに訪れた布教所は、内子パリ布教所、名古屋・パリ布教所、飾東巴里出張所、ラ・セーヌ布教所、旭志ロンドン布教所となりました。夏場は、会員それぞれスケジュールが違うので、お休みとして、9月には、ボルドー教会に訪問させて頂く予定にしています。この企画は100周年が終ってからも継続し、出来るだけ多くの人と出会うことを目的としていきたいと考えています。

また、青年会本部が、六月を全世界布教月間として打出したことを受けて、ヨーロッパ青年会でも、先週の日曜日、17時からバザー協力者を招待してバーベキューパーティーをしました。この企画で意図したところは、パーティー途中の18時からの夕勤めに信者が全員神殿に上がることで、未信招待者の天理教に対する好奇心を高めることです。夕勤め時、長谷川所長は、この機会のために、拝読物として、教祖伝逸話篇の中から「麻と絹と木綿の話」を特別に選んでくださいました。

このような話です。

明治五年、教祖が、松尾の家に御滞在中のことである。お居間へ朝の御挨拶に伺うた市兵衞、ハルの夫婦に、教祖は、

「あんた達二人とも、わしの前へ来る時は、いつも羽織を着ているが、今日からは、普段着のままにしなされ。その方が、あんた達も気楽でええやろ。」

と、仰せになり、二人が恐縮して頭を下げると、

「今日は、麻と絹と木綿の話をしよう。」

と、仰せになって、

「麻はなあ、夏に着たら風通しがようて、肌につかんし、これ程涼しゅうてええものはないやろ。が、冬は寒うて着られん。夏だけのものや。三年も着ると色が来る。色が来てしもたら、値打ちはそれまでや。濃い色に染め直しても、色むらが出る。そうなったら、反故と一緒や。

「絹は、羽織にしても着物にしても、上品でええなあ。買う時は高いけど、誰でも皆、ほしいもんや。でも、絹のような人になったら、あかんで。新しい間はええけど、一寸古うなったら、どうにもならん。そこへいくと、木綿は、どんな人でも使うている、ありきたりのものやが、これ程重宝で、使い道の広いものはない。冬は暖かいし、夏は、汗をかいても、よう吸い取る。よごれたら、何遍でも洗濯が出来る。色があせたり、古うなって着られんようになったら、おしめにでも、雑巾にでも、わらじにでもなる。形がのうなるところまで使えるのが、木綿や。木綿のような心の人を、神様は、お望みになっているのやで。」

と、お仕込み下された。以後、市兵衞夫婦は、心に木綿の二字を刻み込み、生涯、木綿以外のものは身につけなかった、という。

個人的な感想としては、この逸話で、教祖は、人間が持つべき心について、大変分りや易く教えて下さっており、また未信者の方に対して簡潔に教えの一端を紹介するのにちょうど良い話だったと思います。

今後、ヨーロッパ青年会員一同は、今回の試みをさらに発展させることに力を注ぎ、初参拝を達成していこうと思っています。

ご静聴ありがとうございました。

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