Tenrikyo Europe Centre

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2018年3月月次祭神殿講話

中田晃(海外部ヨーロッパ・アフリカ課長)

さて、前回ここヨーロッパ出張所の月次祭で話をさせていただいたのは、丁度、教祖130年祭も目の前に迫った、2015年11月のことであります。あの時は、年祭に向かって、その三年前には本部巡教が実施され、それ受けて直属の部内巡教が行われ、そしてようぼくの集いと進み、全教のおたすけの気運が高まり、その三年千日の仕上げにかかっていた頃だったと思います。

そして、現在はと言いますと、昨年の8月末からおぢばでは、後継者講習会が始まり、この3月末までの全25次の内、既に22次まで開催され、あと3次を残すのみとなっています。

また、日本国外では、このおぢばでの後継者講習会を受けて、本部拠点を中心に後継者研修会が開催されてきました。ここヨーロッパでも、英国連絡所会場とヨーロッパ出張所会場の2ヶ所で開催されました。

私は講習会や研修会があるといつも思うのですが、こうした講習会や研修会は、その後が大切なのではないでしょうか。本部やあるいはそれに準じたところで開催される講習会は、その後の丹精、丹精とはいかないまでも、その後の現地、現場での取り組みによって、単なる催し物で終わるのか、それとも活きた講習会、研修会になるのかが決まってくるのではないかと思うのです。それには、何か特別な行事を更にしなければならないというわけではないと思います。今行っている様々な活動を、講習会や研修会を受講した人たちに、今回の場合ですと、20歳から40歳の人たちになりますが、そうした人たちに心を掛けて行うだけでも違ってくるのではないかと思います。しかし、これも出張所だけで、或いは教会長、布教所長だけが心掛けていれば良いということではありません。ここにいる皆さん一人一人の肩にかかっているのだと思います。

ところで、三年後の2020年の秋には、ヨーロッパ出張所開設50周年を迎え、その記念祭をつとめると聞いています。

普通、企業などが、何周年といった催し物をする時には、大体その企業で働く職員の中で企画運営チームのようなものが組織され、そこが中心となって準備から接待などを受け持ち、その他の職員や関係者はイベントに参加して終わりでしょう。

一方、ここヨーロッパ出張所をはじめ、お道の教会や布教所などの何周年記念祭はどうかと言いますと、出張所長や所員がいるんだから、或いは教会長やその住み込みさんで、また布教所長夫妻で、準備をして、走り回って、その他のようぼく、信者は招待されるのを待って、記念祭当日にはおつとめに参列し、直会で飲み食いするだけ、とはいかないのです。お道の十年毎に行われる記念祭は、そこへ向けて教会長はじめ所属するようぼく、信者が普段にも増して一手一つに成人を目指す記念祭ですから、そのようぼく、信者も率先して関わらなければなりません。

同様に、ヨーロッパ出張所は、ヨーロッパ在住のようぼく、信者のための出張所でありますから、ここにいる皆さん、そして本日参列できなかったヨーロッパ在住の全ようぼく、信者の皆さんが、これに関わっていかなければならないのです。その関わり方は千差万別だと思いますが、この50周年に向けては一手一つに進んでいただきたいと思います。

その一手一つに進む手だてとして、去る1月に、ヨーロッパ出張所長から、ヨーロッパ出張所開設50周年に向けての成人目標を発表されたと聞いています。また、その成人目標を掲げた思いとしては、

この旬に、全ヨーロッパ信者が、これまで以上に「陽気ぐらし」の心づかいが持てるようヨーロッパ全体の成人目標を掲げ、開設50周年に向け共に着実な道を歩んで行きたいと存じます。

成人目標は、2018年から2020年までの3年間を区切って、「おつとめを習得すること」と「周囲の人に初参拝を勧め、親神様を知ってもらうこと」に重点を置きたいと思います。

としています。そして、具体的には次の三点を出張所開設50周年に向けた成人目標にすると発表されています。

先ず一つ目は、

1.「座りづとめから12下りまで、みかぐらうたをすべて歌えるようになろう。」

です。そしてその具体的な説明として、

まずは座り勤めのみかぐらうたを、一人であっても歌詞を見ながら歌えるよう努力して下さい。それから、月次祭でも、地方に合わせて、みかぐらうたが歌えるようによろづよ、1下り目から12下り目までを練習しましょう。

とあります。

次に二つ目ですが、

2.「おてふりが今以上に踊れるようになろう。」

とあります。その説明として、

この3年間の自己達成目標を決めて、地道な努力を続けてください。

すでに月次祭でつとめているような方であっても、手振りくせ、足の運び、地方、鳴物との調和など、細部にわたって自分のおてふりの再点検、手直しをしましょう。

とあります。

そして、三つ目の成人目標は、

3.「教会、布教所、出張所または自宅での初参拝を促す声がけをしよう。」

です。そして、その思いとして、

教会や布教所にお誘いすることが難しい人には、自宅にお奉りしているお社の前でご参拝いただき、親神様を知ってもらう努力をして下さい。

結果に縛られることなく、教祖の道具衆として、とにかく一言掛ける努力を続けることが大切です。

以上の三点を成人目標として発表されていると思います。

この成人目標に関してましては、先月の祭典講話で松川 内子パリ布教所長が丁寧に説明してくださっていますので、ここでは省かせていただきたいと思います。

ただ、この成人目標もヨーロッパ出張所の所長の、また所員の成人目標ではなく、皆さんの成人目標であり、この50周年に向かって一手一つに進む、成人させていただくための目標であります。

この一手一つという言葉ですが、真柱様は、今年1月26日の大祭の神殿講話の中で、昨年7月に起こったかんろだいの事情を振り返られながらお諭しくださいました。

それは、かんろだいの各段をつなぐほぞが破損し、据え替えるまで仮復旧もできなかった状況から、

「お互いの心のつなぎが欠けているとのお知らせのように思えた...。」

また、

「一手一つになれとのお仕込みだと感じた...」

と仰せられました。

私たちは、自分では一手一つと言いながら、どこか他人事のように思ってしまってはいないでしょうか。先にあげた成人目標も、一つ目と二つ目は自分一人の努力次第です。言うなれば簡単な目標を掲げてくださっているのです。しかし、これは自分が対象ですから、ともすると、甘えてしまい、明日にしよう、また次の日にしようと日を延ばしていると、ついには50周年の日を迎え、結局何にも進んでいなかった、ということになりかねないのです。この三年間は常に、毎日この成人目標のことを考え、少しずつ実行していくつもりでいなければならないでしょう。そのための手助けとなると思いますが、ヨーロッパ出張所では、この成人目標に向けて、講師が出向する定期的なおつとめ講習会を、出張所をはじめ教会や布教所といった各拠点でも開催する意向だと聞いています。先にあげた話ではないですが、こうした講習会を十分に活用していただきたいと思います。

更に、真柱様は、この一手一つを分かりやすく、

「一手一つとは、同じ一つとの目標に向かって、それぞれがその持ち場の役割を果たすとともに、相互に連携して活動すること...」

とご説明くださいました。

また、その私たちの同じ一つの目標というのが、

親神様、教祖の思召である、世界一れつをたすけて陽気ぐらしの世の中を実現すること...」

であり、また、

「そのためには、この教えを世界中に行き渡らせ、また末代に伝えなければなりません。それには、をやの思いが分かり、その思召を実現すべく立ち働く、もっと多くのよふぼくを育て、増やす事が必要...」

とも仰せられました。

世界一れつをたすけて陽気ぐらしの世の中を実現するためには、この同じ一つに目標に向かって歩く私たちお道の人間でありますから、ヨーロッパ出張所50周年の三番目の成人目標に掲げている「初参拝への声掛け」は避けては通れないものだと思います。

冒頭に後継者講習会の話が出ましたが、この後継者講習会でも、身近な人への声掛けを促してくださっていたと思います。周囲に心を配り、目を向けると、身上で困っている人、事情で悩んでいる人たちは沢山います。そうした方々を横目に陽気ぐらしはできません。そうした方々に、目を瞑ることなく、いかに気づき、声を掛けるか。それが三番目の成人目標だと思います。

ただ、私たちは、真柱様が仰っているように、「与えられた役目には一生懸命に働いたとしても、目の前のことや自分たちのことだけにとらわれて、お互いのつながりを欠き、一手一つになれていないのではないか、それが今回の事情をお見せいただく背景にある...」のではないでしょうか。

私たちは、目標とする一手一つの姿を元はじまりの姿に見ることができると思います。それぞれの道具、雛形は、それぞれの性(しょう)を持っており、その性(しょう)を見定めて、親神様は道具としてお使いになります。決して、ふぐにつなぎの役割を担わせたり、またかれいに飲み食い出入りの役割をさせたりはしていません。

また、それぞれの道具は、俺は何でも切ることができるが、お前にはその力がないからダメだといった、片寄った考えの道具は一つもないのです。すべての道具、雛形の調和の上に私たち人間は創造され、そして、今なお、その調和の中で生かされているのです。それは、かぐらづとめの上にも表れています。10人のつとめ人衆が、それぞれの道具の理を手振りの上に表され、それは決して同じ動きではないのですが、しかしまた、決して自分勝手な動きをするわけでもありません。10人のつとめ人衆が、地方を中心に唱和されるみかぐらうたとそれに合わせて奏でられる9つの鳴物の調べに合わせて、そして親神様の思召に心を合わせてつとめられます。この一手一つの思いに、親神様がお応えくださり、御守護くださいます。

これは、私たちの日々の生活のなかでも同じことが言えると思います。先にも挙げた真柱様のお言葉通り、一生懸命働いたとしても、目の前のことや自分のことだけにとらわれていては、一手一つに欠けてしまいます。そして、その調和が崩れたときに、またその調和を崩したときに私たちに身上にお手入れをいただき、周囲に事情をお見せいただくのだと思います。

一手一つに皆結んでくれるなら、どんな守護もする。(明治31年1月19日)

真柱様が引用くださったおさしづにもありますように、私たちが一手一つになって、心を通わせ、取り組むならば、どんな御守護もくださると、親神様はお約束くださっています。

現在ヨーロッパの教友が掲げている三つの成人目標を、大きな目標である陽気ぐらし世界実現に照らし合わせ、自らそこへ繋げていく努力をして、一手一つに50周年へ向かって進み、日時はまだ定まっていませんが、50周年記念祭当日には、ヨーロッパの全ようぼく、信者がここヨーロッパ出張所に集まり、互いに成人目標の成果を親神様、教祖にご覧いただき、お慶びいただけることを願って、私の話を終えたいと思います。

ご静聴有り難うございました。

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