Tenrikyo Europe Centre

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2018年7月月次祭神殿講話

ロンドン桜井布教所長夫人 パターソンしのぶ

今日ご参拝にいらした皆さんの中には初めてお会いする方もいらっしゃいますので、まず自己紹介をさせていただきたいと思います。

私は、ここに参拝している主人のパターソンサイモンと21歳になる息子の3人で、イギリス、ロンドンにある、ロンドン櫻井布教所の活動を細々とやらせていただいています。また主人はこの約3年間、英国連絡所の代表をさせていただき、私も英国婦人会のお手伝いをさせてもらっています。

さて、昨年の8月から今年3月にかけて日本国内をはじめ世界各国で20歳から40歳のお道を信仰する男女を対象に「後継者講習会」が催され参加された多くの方々から大変有意義な時間を過ごせたという体験談がよせられました。英国連絡所でもアメリカ伝道庁長の深谷先生を講師に迎え、参加者も真剣にお道の話に取り組んでおられました。この講習会は、これからのお道の将来を見据えたうえで、縦の伝道の大切さを私たちようぼくに再認識してもらう、というのが目的であったと思います。また、縦の伝道の最も大きな催しの一つでもあるこどもおぢばがえりが、7月26日から天理で始まろうとしています。

縦の伝道と一口で申しますが、自分の子供に、また自分の孫に、お道をつないでいくということはなかなか難しいことだと常日頃実感している方もいらっしゃると思います。実際、教会でも子供が会長を継ぐことがなくて後継者探しに苦労しているという話をよく聞いたりします。私たちの教会でも会長さんが出直した後、3人の息子さんや娘さんに継ぐ方が見つからず、上級の前会長さんが会長になりました。

しかし一方では、子宝に恵まれた大家族の教会で、子供さん全員が天理教を信仰されているというところもたくさんあります。親の立場からしてみれば、天理教を信仰することを子供に無理強いしたくはないが、できれば一緒に進んでもらいたい、ということだと思いますし、子供の立場からすると、小さいころはいいとして、年頃になって自分でいろいろと考えるようになると「親は親、自分は自分。」と必ず信仰に対して自問自答することがあると思います。

話は変わりますが、英国の教友についてお話をさせていただきます。私たちは結婚して33年半になりますが、その間たくさんの教友の方々と知り合うことができました。最初のころは人数も大変少なかったのですがそのうち、少しずつ増えていきました。ただ、今と一番違うのは、日本から来た駐在員のご家族、留学生が多くを占めていました。英国に来ても熱心にお道を求めてお子さんを連れて月次祭にいらしていました。留学生の中には教会の後継者もいて、こちらの方ににおいがけをされてのちにようぼくにまで導いた方もいらっしゃいました。その後日本もバブルエコノミーが終焉を迎え、各企業が駐在員の数を急に削減するようになりました。あの当時いらした駐在員家族もいっぺんに帰国されたような記憶があります。

それから教友のタイプが変わってきました。英国に永住される予定の方、英国で生まれて育った方など、英国に根の生えたようぼく、未来のようぼくが大勢増えました。もちろんおぢばから近い日本の各地から来られた信仰熱心な教友さんたちの真摯な態度にはいつも感心させられ教えられることもいっぱいありましたが、英国での天理教の広がりを考えた時、今現在が将来的にも大変頼もしいと感じています。こちらでお子さんを育てている教友の方の中には、教会で育った方もたくさんいらっしゃいます。遠い英国に来ても、教会で培われた教えはしっかりおさまっているはずです。その子供さんたち、いわゆる天理教の2代目が今英国ですくすく育っています。まさしく英国での後継者がどんどん増えていると言っても過言ではないでしょうか。

もちろん、難しいこともあります。例えばパートナーが天理教を信仰していないという悩みであります。私はたまたま主人が自分より熱心に天理教を信仰してくださって助かっていますが、それでも信仰初代でありますし、なかなか子供に毎日信仰のすばらしさを伝えるということは難しいようです。しかし息子が小さいころからおぢば帰りをさせていただいたおかげで、周りの人たちが天理教を教えてくださいました。息子はおぢばに帰るたびに友達が増え、彼らから大変いい影響を受けました。詰所では自分よりずっと年上の先輩たちがひのきしんにいそしむ姿を見せてもらいました。主人と私の二人だけではスムーズに伝わらなかったお道を、息子が信仰しているのは、そういうたすけがあったからだと確信しています。ですから、パートナーが天理教を信仰していなくても心配しないでください。そのかわりにどうか天理教の行事にお子さんを連れてきてください。最初は同じ環境の友達と会える楽しみだけでいいと十分だと思います。

現在その息子は大阪大学に留学中ですが、神様が導いてくださったように、おぢばの近くにおいてくださったおかげでご本部の月次祭や、お節、教祖誕生祭に参拝させていただいております。同じく英国から留学している友達たちを誘って行ったこともあるようです。

ここで一つ教祖様の逸話編の中からあるお話しをご紹介したいと思います。

船場大教会の初代、梅谷四郎兵衛先生のお話です。

ある時、梅谷四郎兵衛が、当時5,6歳の梅次郎を連れてお屋敷へ帰らせて頂いたところ、梅次郎は赤衣を召された教祖にお目にかかって、当時たばこやの看板に書いていた姫達磨を思い出したのか「達磨はん、達磨はん」と言った。それに恐縮した四郎兵衛は、次にお屋敷へ帰らせていただくとき、梅次郎を同伴しなかったところ、教祖は「梅次郎さんは、どういたしました。道切れるで。」と仰せられた。このお言葉を頂いてから、梅次郎は毎度父母に連れられて、心楽しくお屋敷へ帰らせて頂いた。

というお話です。

小さいころから子供を連れて参拝することの大切さを教えてくださっているお話だと思います。

さて今まで子供がいる方を対象に話をさせていただきましたが、そうではない方々にも、信仰を伝えたい親しい友人や身近な家族を持っている人もいらっしゃるはずです。私たちがどうして天理教に導かれたかを考えるとき、初代の方を除けば皆さん、自分の親や祖父母から自然に伝わったのではないかと思います。そのことを思い浮かべて、自分の親がいつもしてくれたお道の話をその大事な人たちに伝えさせていただければいいのです。

私も母が事あるごとに話してくれたお道の話を思い出します。そうして一人のようぼくが次の世代を担う自分より若い人たちに一言残していくことが大事なのではないでしょうか。それも自分ひとりで背負うのではなく、ほかのようぼくの力を借りて少しづつでも繋げていくことが重要なことです。

アメリカやブラジルはその昔、大勢の天理教信者が移住して、現在は3代目、4代目に引き継がれています。一方、英国だけではなく、ヨーロッパでの天理教はそれらの国々に比べますと、まだまだこれからだと思います。しかしながら確実に2代目また、ここフランスに関しては3代目が育っている真っ最中の期待十分な状況だと私は確信しています。

3年前、私たちの所属する櫻井大教会で、その当時少年会本部副委員長をされていた飯降力先生が「縦の伝道講習会」でこんなお話しをされています。

わが子はもちろん、教会につながる子供たちも、もっと広い意味でお道につながる子供たちもみんな、親神様、教祖が私たちに託してくださった将来の宝物なのです。そのことを私たちは自分に言い聞かせて、そして、子供たちのために、縦の伝道と言うことを、それはそれは大事なご用だと思ってつとめさせて頂く。このことを忘れてはならないと思います。

神様から預かった子供たちが、いつかようぼくに育ってくれるように、今できる手間隙をかけて育てさせていただくということが、横の伝道に加えて、私たちに託された神様のご用であると思っております。

と講話してくださっています。

また、教祖様はおふでさきで、何度も何度も私たち人間をかわいいわが子とし、その成人を願ってくださっています。

いちれつのこどもがかわいそれゆえに
いろいろ心つくしきるなり(第4号63)

月日にはせかい中はみなわが子
たすけたいとの心ばかりで(第8号4)

こんな事なにをゆうやとみなのもの
をもうであろうこどもかわいい(第11号47)

親神様、教祖の私たち人間に対する深いお心遣いを思うにつけ、それにお応えするために私たちは、自分たちの子供や、孫、周りの世界中の全ての親神様の子供たちを同じように成人に導いていくことが大事なのではないかと思わさせていただくのであります。

今年3月で幕を閉じた「後継者講習会」や今月26日から始まるこどもおぢば帰りを迎えるにあたって思うところを話させていただきました。まだ子供おぢば帰りに参加されたことがないご家族はぜひ一度お子さんを連れて天理でしか味わえない喜びを経験してきてください。また、ここヨーロッパ出張所や英国連絡所の月次祭や少年会などに連れてきていただいて、信仰のありがたさを教友の皆さんたちから見せていただき感じてもらえるよう、一緒に努力しようではありませんか。ヨーロッパで末代続くお道を信じて、末は頼もし未来のようぼくたちを自分たちと一緒に成人の道に導いていこうではありませんか。

つたない話をご静聴くださいまして、どうもありがとうございました。

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