2013年1月大祭神殿講話

ヨーロッパ出張所長 長谷川善久

みなさん。こんにちは。新年あけましておめでとうございます。只今は、立教176年、1月の大祭を皆様と共に陽気に勤めさせていただきました。ありがとうございました。只今より、すこしの時間おつきあい下さい。

昨年中は、皆様方よりヨーロッパ出張所の活動の上に、ご理解とご協力を頂き、ありがとうございました。昨年は、出張所所長の交代に続き、英国連絡所長の帰任、また長い間ヨーロッパの天理教伝道に携わってこられた永尾先生が海外部を離れ、新しく切貫元治(きりぬきもとはる)先生がヨーロッパアフリカ課長に就任されるなど、過去例を見ないような人事異動が行われた年でありました。
私自身、なぜこの教祖130年祭の「三年千日活動」が始まる一年前にここまで大きな変化、混乱を招くようなことをご本部は、なさったのかと思うことも正直ありました。しかしながら、良く思案すれば、これらのことも全ては、親神様が我々ヨーロッパに住むようぼく信者が更に心の成人を進める為の親心に他ならないと信じるに至りました。教祖は、我々の信仰のあり方について、「神さんの信心はな、神さんを、産んでくれた親と同んなじように思いなはれや。そしたらほんまの信心ができますで。」と教えて下さいました。
子供が持てないような重い荷物を持たせる親はいません。人間心では、分からないようなことでも、今は分からないだけで、与えられた御用を一生懸命つとめるうちに、いつかわかるときがくるのだろうと思っています。今はとにかく、「三年千日」活動スタートの年の始めにあたって、この出張所の主人である親神様教祖が喜んでくださる為には、私は、どうあるべきかをいつも自問しながら、今年一年、今まで以上に、人にやさしく、自分に厳しくなれるよう努力を続けて行きたいと思っています。

さて、話は変わりますが、私たちは先ほど一月の大祭をつとめさせて頂きました。その勤め方は普段の月次祭と変わりがありませんが、その意義には特別なものがあります。
ご存知の通り1887年1月26日に教祖様は子供可愛い故に、先の命を25年縮めてお姿を隠されました。そして、おぢばの大祭も同じ日、1月26日に勤められます。このように言いますと、では、教祖様を特別に偲ぶことが特別かと思われる方もおられるかもしれませんが、そうではありません。
1月の大祭の意義について、真柱様は、昨年の1月の神殿講話の中で次のようにお教え下さいました。

「ご承知のように、春の大祭を勤める1月26日は、教祖が現身(うつしみ)をおかくしになった日であります。きょうの日に、あらためてこの日に至る日々を振り返り、そこに込められた思し召しを問い返し、胸に刻み直して、明日からの歩みのうえに生かして行きたいと思うのであります。」

教祖伝第10章「扉開いて」をお読み頂けば良くわかるように、教祖がお姿をお隠しになる前には、親神様のご守護を目の当たりにされて来た当時の人々であっても、神様の神意を悟り、もたれきることは難しいことでした。そんな中、親神様教祖の身体の不調を通して、根気よく、人々に各々が教えに基づいて思案し、談じ合い、心を定めて掛かる事の大切さをお教え下さいました。人々は、最終的には、神様の思し召しに添うという決心をつけ、おつとめを白昼堂々と勤めたのです。つとめる人数も足りていなかったとはいえ、彼らの誠実真剣な心を受け取り、これで陽気暮らし世界への建替えのめどがついたと姿を隠されました。
この歴史的事実を風化させることなく、私たちは1月の大祭には、教祖のひながたの最後をもう一度思い起こし、その限りない親心に改めて感謝を捧げるとともに、今、自分は、日頃から神様からの思し召しを良く思案しながら生活しているか、よく談じ合いができているか、また、時に応じて、固い決意をもって御用に取りかかっているかを改めて問いかけ直すことが大切だと思わせて頂きます。

私たちは、来る三年後の2016年1月26日には教祖がお姿をお隠しになられてから130回目の1月26日を迎えます。これまで天理教信者は、10年毎に勤められる教祖の年祭を陽気暮らし世界建設実現の一里塚として、その三年まえからの期間を「仕切っての成人」の旬、ご守護が多く頂ける旬として普段以上に教祖が残されたひながたをたどる努力を重ねてきました。その結果、人間思案を超えた多くの不思議なご守護を頂いてこられた事実は、今の天理教の発展を見れば明らかです。
この三年間という期間については、「おさしづ」で次のように教え下されています。

「10年あとの道は、どんな事を説いても、いか程説いても、そんな事は無い、何を言うやらと言うていたのや。国々の者やない。そこからそこの者でも分からなんだ。なれど10年経ち、20年経ち、口に言われん、筆に書き尽くせん道を通りて来た。なれど千年も2千年も通りたのやない。僅か50年、50年の間の道を、まあ50年、30年も通れと言えばいこうまい。20年も10年も通れと言うのやない。まあ10年の中の3つや。三日の間の道を通ればよいのや。
僅か千日の道を通れというのや。千日の道が難しいのや。ひながたの道より道が無いで。何程急いたとて、急いだとていかせんで。ひながたの道より道無いで。」(明治22年11月7日)

親神様おやさまの生涯を通して私たちが本当にたすかる道、ひながたをお教えくださいました。教祖が通られた道は50年であるけれども、同じ期間を通れと言われないばかりか、半分以下の20年、10年通れとも仰りません。教祖様が通られた50年に対して僅か千日、3年を教祖のおともとして、真実込めたひとだすけをしてくれと言われたのです。

ヨーロッパ出張所では、この1月26日より始まる教祖130年祭へ向けての大切な3年間についての認識をヨーロッパの全教友に高めてもらい、この旬にしっかりと成人し、ご守護をいただいてもらえるよう活動を推進していくつもりです。
先月12月のヨーロッパを代表する布教師の方々が集まる会議では、ヨーロッパ教友共通の活動基本方針、成人目標を決めさせて頂きました。

「ヨーロッパ130年祭活動方針」は、仕切っての成人-ひとだすけの実行-とさせていただきました。
諭達第三号でお示し頂いたように、これからの三年間は、これまで以上に周囲に心を配り、悩む人に積極的に声を掛け、その話を聞くことから、始めたいと思います。その上で、病気の方であれば、おさづけを取り次ぎ、事情であれば、その治まりを真剣に親神にお願いさせてく。そのように私たちが真実を持って悩める人に寄り添ううちに、教祖がお働き下され、親神の教えが胸から胸へと伝わり、相手の心の向きも次第に変わって行くと信じます。

また成人目標しては、4つの項目を挙げました。
一番目は、おつとめをつとめよう-おてふり鳴り物の練習-です。
おつとめは、教祖が直々に教えてくださった信仰生活の根本です。それぞれ到達目標を定め地道な練習を今まで以上にさせていただきたいと思います。
フランス人の方々には、ことばの問題が大きくあることは重々承知ではありますが、そのような中を地道に練習する姿を親神様教祖は大変喜ばれると思います。上手に鳴り物おてふりができるから、神様は喜ばれるのではありません。難しいけれども、それでもさせてもらいたいという真実を神様はお受け取りくださいます。万が一、間違えてもかまいません。人が笑っても、教祖様はよろこんで下さいます。教祖伝逸話編54『心で弾け』のなかで、「稽古できてなければ、道具の前に座って、心で弾け。その心を受け取る」とお教え頂くところです。

2番目は、身近なひとだすけを実行しよう-小さな事でもすぐに声をかける-です。
私たちの中にも、ついつい、大きな事。これは小さな事と自分で都合の良いように勝手に決めつけてしまう人はいないでしょうか。頼まれた事、相談されたことを精一杯させて頂くのは勿論の事、普段から周囲に気を配り、相談されていない些細に思われるようなことでも、まずは、声をかけることからはじめましょう。

3番目は、おさづけを取り次ごう-十全の守護、八つの埃を伝える—です。
ようぼくの方は、「十全のご守護、八つのほこり」を心におさめて、真実のおさづけを積極的にとりつがせていただきましょう。また、まだようぼくでない方も「十全のご守護、八つのほこり」の教えをよく学び、機をつかんでは、人に話ができるように努力いたしましょう。

最後の4番目は、子供に信仰の喜びを伝えよう-家庭内で信仰の話を増やす-です。
往々にして、家族同士だと、なかなか信仰の真剣な話は避ける傾向もあるのではないでしょうか。親が態度に示して信仰を伝えるのと同時に、これからは、意識して家庭内でも、お道の話題、教えについての話をするように心掛けましょう。

以上がヨーロッパ出張所として、掲げた4つの成人目標です。

そして、これら4つの成人目標に加えて、ヨーロッパからの帰参者人数と、おさづけの取り次ぎ回数についての目標も定めることにしました。
教祖130年祭までに信仰目的におぢばがえりをした人の人数を350名。
おさづけの取り次ぎについては、この成人目標とは別に年祭迄の3年間でヨーロッパの全教友が取り次いだおさづけの回数を集計して、130年祭にちなんで、1万3千回を達成しようというのを掲げました。
勿論、これらの目標は、数字だけを集めて達成することが目的ではありません。私たちを助け上げたいと姿は見えないけれども確かにお働き下さっている教祖の存在を信じ、そのお供をさせて頂いている喜びをできるだけ、多くの人がこの三年間貫きとおしやすいようにという配慮からです。やはり組織的に物事を成し遂げるためには、どんな形であれ、具体的に変化が分かる指標があったほうが、様々な問題点も浮かび上がりやすいだろうという考えからです。また一方では、具体的な目標をおいた方が、自分に厳しく、よりやる気を維持できる方もおられるかとも想像します。
勿論、一人ひとり違った目標の建て方、やる気の維持の仕方があって当然だと思いますので、個々の取り組みに関しては、数値目標を決めるか、どうかは、それぞれのお考えに任せます。

今、この現在、私も、皆さんも、このヨーロッパで、まだまだ数少ない親神様の信仰者として生活しています。日本から来た人、ヨーロッパで天理教の教えに出会った人、すべて偶然だと言ってしまえばそれまでですが、私はそうは考えません。親神様は、その地、その時代に一番ふさわしい者達を引き寄せ、その者達が、神の思し召しをよく思案し、談じ合い、心を定めて成人の歩みを進めていくことを期待されていると思います。
さあ、今月から、みんな揃って、自信をもって立ち上がり、更なる幸せへ続く扉を力一杯に押し開きましょう。扉の向こうでは、どんな中も優しく手を引いて導いてくださる教祖が、私たちが飛び込んでくるのを待っておられます。

ご清聴ありがとうございました。

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